傾く人生 歌舞伎道
  • ロールスロイス 31億2000万円の究極のワンオフ・モデル「ボートテイル」を製作

    ■傾く人生 歌舞伎道 銀座・成田屋のトピックス

    ロールス・ロイス・モーター・カーズ本社は2021年5月27日、コーチビルド部門が製作したビスポーク仕様の「ロールス・ロイス ボートテイル(Boat Tail)」を初公開しました。

    より厳しくなる社会環境の中で自動車メーカーどこに向かうのか
    ボートテイルの発表と同時に、顧客の希望に応える世界に1台しかないクルマを製作するコーチビルド部門制度を本格的に導入することを発表しました。受注したこのロールスロイス ボートテイルの価格は31億2000万円ということです。

    ラグジュアリーカーの新たな世界

    ロールスロイスのボートテイルは、クルマとは何かという概念に改めて挑戦し、新たな定義を生み出しました。ボートテイルは単なる移動手段をはるかに超えた存在で、目的地に到達するための手段ではなく、目的地そのものと結論されています。
    ロールスロイスのコーチビルドは、従来の成約を打ち破り、コーチビルドならではの自由な表現力を活かして、顧客と一緒にコンセプトを練り上げ、クルマとして実現して行きます。
    今回のボートテイルはその成果です。今回、4年間を費やし、共通のボディスタイルを持つ3台の特別なクルマを製作しましたが、それぞれのクルマは製作を依頼したクライアントのユニークで個性的な発想が盛り込まれ、それによって異なるストーリーが展開されています。ボートテイルはクルマの歴史の中で前例がなく、工業化された高級車とは対照的な存在ということができます。
    このコーチビルド部門が誕生する契機となったのは、2017年に発表した「スウェップテイル」の存在で、このモデルがコーチビルドが生まれる引き金となりました。それは、ハンドビルドであることによる新たな領域を示し、史上最高のインターコンチネンタル・ツアラーとして称賛されています。
    「スウエップテイル」を目にしたコレクターや熱烈なクライアントとロールスロイスの協議により、ロールスロイスに常設のコーチビルド部門を設立することが合意されました。そして3人のクライアントが海に憧れるイメージや、クルーザーヨットへの深い関心を反映させて「ボートテイル」が誕生することになりました。
    このクライアント主導の表現は、ロールス・ロイスのデザインチームが長年抱いていた、ローリング・シャシーにコーチビルダーが帆船の船体を接ぎ木するボートテールを現代的に表現ということで一致しました。

    全てが手作り

    すべてが手作業で行なわれるコーチビルドの技術により、デザインの新たな可能性を広げることになりました。デザイナーが手書きでデザイン案を作成し、実物大のクレイモデルを作り、手作業でボディ形状を完成させることが可能になります。このコーチビルドの過程では、クライアントがコラボレーションすることも想定され、コラボレーションによるデザインを作り出すこともできます。
    ロールスロイスの最先端のエンジニアリング技術とコーチビルドを実現するための工芸的な手法を融合させ、新たな可能性を追求することができるわけです。例えば手作りのクレイモデルをデジタルリマスターし、そこから金型を作り、その上にアルミ板を手作業でハンマーで成形するといった技法を実現することが可能になっています。
    このプロセスは、ヨットの建造に似ており、時間に追われることなく延々と繰り返される手作業による磨きのプロセス、広大な金属の板がゆっくりと「ボートの船尾」形状という彫刻的な表現として実現し、パネルの切れ目がないドラマチックな曲面、一枚板のようなな仕上げなど、ピュアなデザイン、造形が生み出されています。
    全長が約5.8mのボディは、豊かなプロポーションとクリアな面構成により、優美でリラックスした佇まいを生み出しています。フロントには、アイコンであるパンテオン・グリルと新たにデザインされたライトを組み合わせています。グリルはフロントエンドに不可欠なパーツとして、独自のデザインとなっています。
    ボディサイドは、海をイメージしたデザインが印象的で、ラップアラウンド・ウィンドスクリーンはモーターランチのバイザーを想起させ、Aピラーの緩やかな後方への傾斜、フロントのボリューム感、そしてテーパーのついたリヤはボートが力強く水面から上がってくるようなイメージを備えています。
    海のイメージがより明確なのはリア部分で、後部デッキは、歴史的なボートテイルの木製リヤデッキを現代風にアレンジしたもので木材を採用。化粧板は、ロールスロイスのエンジニアリングの粋を集めて貼り付けられ、通常はインテリアに使用されるグレーとブラックの素材を、美観を損なうことなくエクステリアに使用できるように特別にアレンジしています。木材は細かな直線的な木目が特長で、これはヨットの典型的な木製構造に倣っています。
    エクステリアは、顧客の好みの色であるブルーを基調とし、豊かで複雑な色調を採用。海を連想させるこの色は、影の中では微妙な色合いで、太陽光の下ではメタリックやクリスタルのフレークが埋め込まれているため輝きます。ホイールは鮮やかなブルーに磨き上げクリア塗装を施し、ボートテールの特徴である華やかさを演出。
    またロールスロイス初となるハンドペイントのグラデーション・ボンネットは、落ち着き、カジュアルな美しさ、フロントから見たときの全体のボリューム感を演出しています。
    インテリアのレザーは、ボンネットの色調の変化を反映し、フロントシートにはボートテールのドライバーを意識した濃いブルーを、リヤシートには薄いブルーを採用しています。レザーにはソフトなメタリック調の光沢があり、塗装されたエクステリアとのコンビネーションを際立たせています。また、細部のステッチやパイピングには、車の時計の針からインスピレーションを得た、より強いブルーが使用されています。鮮やかなブルーは、ボディ下部のテクニカル・ファイバー・エレメントにも55度の角度で織り込まれており、水の流れを表現しています。

    あらゆる面で究極を追求

    インストルメントパネルの文字盤には、高級宝飾店や時計店で用いられるギョーシェと呼ばれる装飾技法が採用されています。キャビンのトリムは無煙炭色で、モダンな力強さと深みをもたらし、ライトブルーとメタリックな光沢の柔らかさを補完。この木材はキャビン下部とフロア部分に使用されており、木製の船体を彷彿とさせます。この木材は55度の角度で使用されており、センターラインで完全に整合させているため、どちら側から見ても均一な外観となっています。
    リヤの収納庫は片面は食前酒、もう片面は料理用で、パリのクリストフル社製の専用デザインのカトラリーが用意されています。冷蔵庫には、顧客のお気に入りのヴィンテージのシャンパンが収められています。顧客はシャンパーニュ地方の特定のシャンパンに強い思い入れがあり、このシャンパンを最適な温度である正確な6度まで急速に冷却する能力を持っています。
    現代のロールスロイスは、悪天候を想定してロールスロイス製の傘をドアに収納するのが定番のデザインとなっています。ボートテイルのゆったりとした時間を演出するために、天気の良い日を想定して、リヤセンターラインの下にパラソルを収納。テレスコピックにより、キャノピーは逆に開き、楽に展開することができます。
    内蔵カクテルテーブルは両側に開くと、下に収納された現代的な椅子2脚を利用できます。イタリアの家具メーカーが製作したこの椅子は、外装に使われているのと同じ技法で作られています。
    顧客の個性を反映したリヤデッキは、ボタンを押すと、デッキがバタフライのように大きく開き、広々としたホスピタルスイートが現れます。
    このスイートルームは、ゲストとの出会いの場として、また、顧客の好みや要望を表現する場として利用されます。
    センターラインに向かって蝶番で固定され、オープニングムーブメントは、15度という正確な角度で可動式の宝石箱がホストに向かって差し出される構造になっています。
    機械に強い関心を持つクライアントは、新たな時計を生み出しました。スイスのボヴェ社とロールスロイス社の熱心なコレクターである顧客は、ボートテイルのために新たなダッシュボード・クロックを2社のコラボレーションにより生み出しました。
    この新開発された時計は両面タイプで、男性または女性の腕に着けることも、自動車の時計としてボートテールのファシアの中央に置くこともできるように3年をかけて設計・製造されました。
    ボートテイルの後部に搭載されたホスティング・スイートの複雑な機構を実現するため、車体後部だけで5基のECUを搭載。専用設計された専用ワイヤー・ハーネスが必要で、そのために9か月間におよぶ研究・開発を実施。その結果リヤデッキのリッドは67度の角度に開き、安全性の高いロック機構が備わり、さらにさまざまな料理を保存しておくための総合的な空調システムを備えています。
    また、ホスティング・スイート内の温度管理にも配慮され、食べ物や飲み物、シャンパンなどに悪影響を及ぼさないように2つのファンを下部に装備しています。
    このボートテイルは型式認証を取得した公道走行可能な車両で、オーナー自らが運転することを前提としているため、リヤのホスティング・スイートの構造や搭載物が十分に固定されているかどうかの高速分析や、走行時の静粛性など、厳格ダイナミックテストを受けています。

    引用:自動車情報サイト carview!

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