傾く人生 歌舞伎道
  • 1800万円オーバー! カエル顔のFRポルシェ「928」と「968」とは

    ■傾く人生 歌舞伎道 銀座・成田屋のトピックス

    ヘッドライトをポップアップした姿がファニーなポルシェ「968クラブスポーツ」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

    ゴージャス仕様のFRポルシェ、それが「928」

    ポルシェといえばリアエンジン・リア駆動のRRというイメージが強い。フェルディナンド・ポルシェ博士が設計した「タイプ1」、いわゆる「ビートル」が、このレイアウトを採用したことからくるイメージだが、21世紀のいまもRRの「911」の人気は高い。

    実際に911に乗ってみれば、その素晴らしさは並外れたレベルにあることがわかるだろう。ポルシェといえばRRというのは、言葉だけのものではない。

    しかし、過去にポルシェは911だけのラインナップを危惧していた。たしかに、911の販売が失敗したら会社が傾くというのでは、企業として基盤が弱すぎる。

    そこでユーザー層を広げるためにつくったのが、「914」というモデルだった。フォルクスワーゲンと部品を共用化することでコストダウンし、ミッドシップにエンジンをレイアウトしたこのモデルは、販売面では成功したといっていいものとなった。

    その後、ポルシェは新世代のモデルとして「924」を開発。フロントエンジン・リアドライブのFRレイアウトを採用したことで、ミッドシップの914とは違ってリアシートが装備できた、というのも特徴となっている。

    924の後、メインストリームとなるべくモデルとして開発されたのが、「928」だった。新開発された4.5リッターV型8気筒水冷エンジンを搭載したFRレイアウトのこのクルマは、911と比較したとき、よりラグジュアリー方向の味付けがされている。

    1988 ポルシェ「928 S4 マニュアル」

    今回シルバーストーンオークションに登場した「928SE」、一般的には「928S4」と呼ばれるモデルは、「928S2」のときに5リッターまで排気量が拡大されたエンジンをさらにパワーアップしたスポーツモデルだ。

    ラグジュアリーでいてスポーティなポルシェ「928 S4」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

    最高出力320ps、最大トルク42.0kgmとなり、ベースモデルの928から空力特性の向上も実現している。

    この個体はイギリス仕様として、42台製作された右ハンドル車42台のうちの1台。1988年の新車当時から、在英エジプト大使館で使われていたものだが、走行距離は1万351マイル(約1万6500km)と非常に少ない。

    そんな928S4の落札価格は、12万9375ポンド(邦貨換算約1815万円)。保存状態の良さを考えると、妥当といっていいプライスだろう。

    マニアが欲しがる「968クラブスポーツ」とは

    同じオークションにもう1台のFRポルシェが出品されていた。それが「968クラブスポーツ」である。

    1993 ポルシェ「968クラブスポーツ」

    968というのは、928のあとに開発された924の後継モデルである「944」の大ヒットを受けて開発されたモデルだ。搭載されているエンジンは、「944S2」に搭載されていた3リッター4気筒エンジンはそのままに、可変バルブタイミング機構などを組み込んだもので、240ps/31.0kgmというスペックを誇る。968のデビューは1991年のことだった。

    走り好きにはたまらないポルシェ「968クラブスポーツ」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

    今回シルバーストーンオークションに登場した個体は、968クラブスポーツ。このモデルは1993年に、968のスポーツバージョンとして発売されたもの。リアシートを外し、フロントシートはフルバケットに変更。パワーウインドウやエアコン、エアバッグなども外すことで、ベースモデルから約50kgの軽量化を実現している。

    サスペンションは車高調整式となっているほか、LSDも装備したことから、サーキット走行を愉しむユーザーに人気で、現在状態のいい個体は非常に少なくなっている。

    しかしこの個体は、オプションでラジオとサンルーフが装備されていることからもわかるように、サーキット走行などの激しい使用はされていかなったようだ。

    付属するメンテナンスノートによると、1994年にポルシェが登録して以降、ドイツ国内で定期的なメンテナンスを受けており、1996年に個人に販売されている。その後1998年にイギリスのポルシェ専門店に渡った後、さまざまな個人がオーナーとなっている。

    その間、整備を定期的に受けていたほか、KW社の車高調整式サスペンションVer3や、クワイフ社製LSDの装備、カムチェーンや各マウントの交換などをおこない、2020年10月にはインジェクターやインマニ、スロットルボディのクリーニングと、セキュリティシステムの取り付けもおこなわれた。

    現在の走行距離は14万4000kmだが、状態としては極上といっていいこのクルマ、落札価格は4万1063ポンド(邦貨換算約576万円)だった。走りを愉しみたい人が落札したのか、コレクターが落札したのかは不明だが、FRポルシェの代表といっていい968の、しかもクラブレーサーであることを考えれば、いい買い物だったことに間違いないだろう。

    引用:くるまのニュース
    https://kuruma-news.jp/post/325920

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