Column
相撲・そのかたち
【相撲・そのかたち】
神に愛される、汚れなき少年の髪型
大相撲の力士の髪型といえば大銀杏(おおいちょう)。江戸時代の武家の髪型といわれます。
しかし、ここで、まげの下を見てください。剃っていませんよね!? これは「引退後、すぐに洋風の髪型にできるように」ではなく、剃らないで前髪があるのがもともと正式だからだそうです。相撲はその始まりは神事であり、神が好むのは汚れなき少年同士の取り組みだったから…というのが、力士の前髪の起こりなのでしょうか。
「手ぬぐいの中に日本一の顔」とうたわれた初代・中村鴈治郎(がんじろう、1860-1935)は50代になっても前髪立ての若衆を演じれば、十代の少年にしか見えなかったといいます。初代・鴈治郎もまた、神から愛される役者だったのでしょう。
木下大門さんの大相撲錦絵「第58代横綱 千代の富士」。千代の富士(1955-2016)の力強さ、神々しさがしのばれます。