傾く人生 歌舞伎道
  • 理想を追求したGT「ポルシェ928」

    ■傾く人生 歌舞伎道 銀座・成田屋のトピックス

    フロントエンジンで後輪駆動

    運転も楽しいが、長距離を快適に走れることを目的としたクルマ・GTとして、1977年に発表された大型クーペのポルシェ928。この名車は、他に類のないスタイリングでエンジニアリングを追求したモデルだ。

    リアクォーターウィンドウの湾曲ぶりに注目

    格納式ヘッドランプユニットを採用

    スポーツカーメーカーのポルシェだったが、ラグジュアリーカー市場への進出を意図して生産したクルマが、この928であろう。全長4.4メートルに対して全幅は1.8メートルを超えるという、当時としては大きなサイズのボディーに、2プラス2の居住性。トルクがたっぷりある4リッター超のV8エンジンに、オートマチック変速機も用意されていた。

    初期は4.5リッターで後期は5.4リッターまで

    1980年の「S」は標準の240馬力から270馬力に

    ポルシェは、単に大きくて豪華なクルマをつくったのではない。内外装ともに非常に凝っていた。ボディーは卵のように直線がほとんどないものだ。パネルを型抜きすることは、当時の技術ではかなり大変だったに違いない。とりわけ、丸いリアビューのオリジナリティーの高さは、デザイン史に残したいほどだ。インテリアもダッシュボードの造形など、機能主義を基本にしながら、仕上げの品質は抜群に高く、ポルシェならではである。

    5.4リッターで340馬力の「GTS」(1992年)

    操縦性は、ポルシェに期待するようなスポーツカー的な鋭さがあまりなかった。が、エンジンの排気量を増したり、サスペンションを見直したり、95年に生産を中止するまで、様々な対策を施した。それが功を奏して、後期のモデルはかなり運転が楽しめるキャラクターだった。その後ポルシェは、2002年にSUVのカイエンを、09年にセダンのパナメーラを発表するまで、この市場に乗り出すのを控えていた。しかし、928はしっかりとしたマーケット戦略を持ちながら、ポルシェの理想を追求した点で画期的なのだ。

    途中から一部のデザインが変更

    引用:朝日新聞デジタルマガジン&[and]

    PAGE TOP