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市川海老蔵「免疫の足しに」…7役早替わり熱演「コロナにならないように、歌舞伎で喜んでいただければ」
■傾く人生 歌舞伎道 銀座・成田屋のトピックス
歌舞伎俳優の市川海老蔵(43)が12日、群馬・高崎芸術劇場で巡業公演「古典への誘(いざな)い」(15か所19公演)の「命懸歌舞伎ノ道筋 三升先代萩(みますせんだいはぎ)」に出演した。仁木弾正(にっきだんじょう)ら7役を早替わりで熱演。約2000人の観客を魅了した。
仙台藩のお家騒動を描いた物語。海老蔵演じる大悪人・仁木弾正はお家乗っ取りを画策し、妖術でネズミに化けたり、鮮やかな立ち回りも披露した。日頃、立役(男役)をメインにする海老蔵が女形屈指の大役とされる乳人政岡(めのとまさおか)にも挑戦。我が子を犠牲にしながらも忠義を尽くす女性を情感たっぷりに演じて喝采を浴びた。ほかにも荒事の荒獅子男之助、力士の絹川谷蔵ら7役を見事に演じ分けた。
「既存のファンだけでなく、もっと若い世代にも伝えていかないと未来はない」と歌舞伎の将来に危機感を覚え、2012年から始めた巡業公演。現在はコロナ禍で遠方への外出を控える歌舞伎ファンが多いこともあり、成田屋一門が地方を巡る公演はチケット完売が続出する盛況ぶりだ。新型コロナの感染予防を踏まえ、掛け声は禁止。この日は海老蔵が登場すると「待ってました!」とばかりに会場は大きな拍手に包まれた。
海老蔵は最後の口上で「かくも賑々(にぎにぎ)しくご来場いただきまして、誠にありがとうございます」と感謝。「コロナにならないように、歌舞伎で喜んでいただければ、免疫の足しになるのではと思います。それを一心に願って、一生懸命に勤めさせていただきました」と客席に呼びかけた。海老蔵の人気はもちろん、コロナ禍で自粛を求められる今だからこそ、エンターテインメントが求められていることも証明された。
引用:スポーツ報知