傾く人生 歌舞伎道
  • 勘三郎、そして談志と飲んだ銀座の夜

    ■傾く人生 歌舞伎道 銀座・成田屋のトピックス

    志村さんが2012年12月に公式ブログで公開した銀座の夜の写真。左から、上島竜兵、中村勘三郎、立川談志、志村さん(同ブログより、2001年7月)

    志村けんが同じマンションに住んだ女優・川上麻衣子が2001年7月に夢のような一夜を演出したことがあった。川上の交友関係が縁で、志村さんと18代目中村勘三郎さん(当時は中村勘九郎)が初めてお酒を酌み交わしたのだ。

    「もともと、旧知の勘九郎さんから『けんちゃんに会いたい』ってお願いされていたんです。その日は志村さんと私が麻布十番で飲んでいるときに、たまたま勘九郎さんから電話があって、銀座で合流しました。その時、2人は初めて会ったんです。

     思い出すのは、勘九郎さんが『いまも舞台で震えることがある。役者なんか震えなくなったらおしまいだよ』と話すのを聞いて、志村さんが『すごく、よくわかります』と応じていたこと。『志村X』での姿を見ていましたから、とても印象的な会話でした」

     夢のような宴はそれだけでは終わらなかった。勘三郎さんの計らいで、立川談志さんがその席に駆けつけたのだ。銀座のクラブに、昭和、平成の大スターが一堂に揃った。

    「勘九郎さんが『志村のけんちゃんがいるよ』って談志さんに連絡したんです。すると、談志さんは銀座に来てくれた。談志さんが嬉しそうに『けんちゃんの芸、好きだよ』って話してました。志村さんは恐縮していて、何かを話すというよりは真剣に話に聞き入っていました。

     勘九郎さんが場を盛り上げて、志村さんはひたすら歌舞伎の話を興味深く聞かれていました。板の上に立って勝負する人たちならではの会話でした。お互いがみんなを認め合う、とてもいい時間でした」

     志村さんは、勘三郎さんが亡くなった3日後の2012年12月8日、この日に撮った写真をブログにアップし、次のように綴っていた。

    〈談志師匠と勘三郎さんと銀座のバーで飲んだ時のものです 役者 芝居 演技 色々話しました 今では貴重な話 明日 いや今日 明日ばか殿本番収録です 楽しくやります 人が喜ぶ事を真剣に(略) 少し酔ってます この写真見て飲むと ついつい杯が進んで 今夜は星が綺麗でした 誰がどの星かな いずれ小さいけど星の仲間に入れるかな〉

     掲載された写真では志村さん、談志さん、勘三郎さんがそろって顔を赤らめて笑っている。志村さんには格別な味のお酒だった。

    引用:文春オンライン
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f2e5d34281043aa2367e28a6ac46d462ad24532c?page=4

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